今日はエジンバラより更に北のインヴァネスに移動する日だ。インヴァネス滞在は今日
だけの予定ということもあり、朝6:55エジンバラ発のバスに乗って早いうちにインヴァネス
に着こうと考えていたのだが、寝坊してしまって起きたら６時半過ぎだった。
　仕方なく6:55のバスは諦めて次の8:55のバスで行くことにして準備を整えて宿をチェック
アウトした。ところが、バスターミナルに行ってみると8:55のバスはなく9:30発の直通バス
があったので、このバスに乗ることにしてチケットを購入した。（8:55発のバスはPerthで
乗り換えが必要があったが、このバスは乗り換えなしでおまけにインヴァネス到着予定時間
も同じだったので結果的にはよかった。）

　途中の景色は、Perthまでは昨日のＳｔ．アンドリューズまでと同じなので特に面白みは
なかったが、そこから先の景色も牧草地が続く良く似た景色の連続で面白みはなかった。
昨日も思ったのだが、スコットランドは日本で言えば北海道に似ているように思えた。英国
南部の人の避暑地になっていることといい、牧場が多いことといい、夏はいまいち天気が
安定しないことといい、とてもよく似ているように思うのだが。牧場には草を刈り取って
丸めたロールケーキのようなのがよく見られるところなども北海道そっくりだ。
　バスはそんな風景の中を４時間近く走って、定刻通りの13:21にインヴァネスの街に着い
た。

　　


　インヴァネスはその名の通り、ネス川の河口に発達した町である。漁業くらいしか産業の
ないこの町が人で賑わっているのは町の名前になっているネス川の源流であるねす湖が近い
ということが大きい。インヴァネスの町からは、そのネス湖まで行く半日或いは１日の色々
なパターンのツアーが実施されている。元々6:55のバスに乗ろうと思っていたのは、その
ツアーの中でも湖畔にある古城アーカート城に寄るツアーに参加したいと思っていたから
だったが、町のインフォメーションに行ったときには１時半を回っており、このツアーには
間に合わなかった。
　だが、アーカート城には寄らない以外はほとんど同じ行程のツアーには間に合いそうだっ
たので、２時半からのそのツアーに申し込むことにした。

　ツアーに参加するまでに今晩の宿であるＹＨまで行っている時間はなさそうだったので
荷物をどこかへ預けようと思っていたのだが、その候補である鉄道駅は午後６時半で荷物
預かり所は閉まると書かれていたので、どうしようかとインフォメーションで相談したと
ころ、「ツアーは６時過ぎには終わってここに戻ってくるので駅に預けても問題ないだろ
う。」とアドバイスしてくれた。そこで、再び駅に行って荷物を預けて（£３）、インフ
ォメーションの前に戻りツアーのバスがやってくるのを待った。インフォメーションの前
には私同様にツアーのバスを待っているらしき人が何人かいた。

　ちなみにここのインフォメーションはツアー以外にも宿の紹介もやっているようで、室
内にはツアーや宿のパンフレットが沢山並べられておりなかなか充実していた。

ネス湖ツアー

　２時半より少し前に、ツアー会社であるジャコバイトクルーズというロゴのペイントの
あるツアーバスがやって来た。バスが来ると先程まで自分の近くで待っていた人達がぞろ
ぞろとやって来て２０人くらいの客がバスに乗り込んだ。
　ツアーバスに乗ると運転手に何人か聞かれたので日本人だというと、ネス湖について書
かれた日本語のパンフレットをくれた。この辺りは日本人観光客のよく来る西側の国らしい
サービスだ。

　バスは町を出てからもネス湖の端からネス川がはじまるところや途中のホテルのような
ところで客を拾っていき、最終的には３０人くらいになっていた。ネス湖の湖畔にもこじ
んまりとしたゴルフ場を幾つか見かけたりした。さすがゴルフ発祥の地スコットランドだ。

　ツアーの内容は、まずはバスでネス湖畔の道を走って船着場まで行き、船でアーカート
城まで行って（城の見学はしない）から再び船着場に戻り、その後はネス湖２０００と
いうネス湖とネッシーについての記録が展示されているビジターセンターを見学すると
いうもので、まずは船着場に向かい、駐車場で車を降りて船に乗り込んだ。



　　

　船は小型のクルーザーで揺れもすくなく乗り心地はよかったが、丁度船に乗るときから
雨が降り出してしまい、そのせいで結構寒く、夏の旅行としては北欧に行ったとき以来の
上着を着ることになった。こんな事もあろうかと荷物になるのを覚悟の上で上着を持って
きたのは正解だった。
　雨はしばらく降っていたが、船がアーカート城の近くに来る頃には止んで雲間から青空
が顔をのぞかせていた。


　　

　
　アーカート城は写真見たときは威厳のある感じに見えたが、湖の方から見たら思った
よりもずっとショボく見えた。この城は次の日にもスカイ島へ行くバスの中から見えたが
陸の上から見た方が良く見えた。この城も建物自体は破壊されたり風化が進んだりしても
はや城跡という感じだった。
　上でスコットランドはゴルフ場が多いと書いたが、こんな感じの城や城跡も実に多かっ
た。ノルマン人（別名バイキング）の国であるイングランドとケルト人の国であるスコット
ランドの抗争など、イギリスも国内での争いがかなり激しかったということなのだろう。
　それとも、バイキングの血を引くといわれるように英国人は元々戦争好きな民族なの
だろうか。
　まあ、日本もあの狭い国にしてはやたらと城が多いことを思えば他の国の事をとやかく
いえないのかもしれないが。同じ島国ということで、英国と日本は案外お互い似たところ
があるのかもしれない。


　ところでネス湖の印象は、日本で言えばなんだか富士五湖の西湖に少し似ているように
思えた。勿論、西湖よりもネス湖の方がずっと大きいし標高も低いところにあるのだが、
森に囲まれた雰囲気や細長い湖の形が似ているところからなんとなくそう思えたのかも
しれない。森に囲まれたと書いたとおり、ネス湖は町に近く有名観光地である割には湖の
まわりは牧場があるくらいで原生林も沢山残っており自然が豊かだった。この当たりは、
ナショナルトラスト運動が盛んな土地柄だけある。変にレジャー用に開発され、湖畔に
土産物屋や旅館が立ち並ぶ日本の観光地もこの当たりは見習いたいものだ。
　ちなみに船湖の水は澄んでいてきれいだったが、湖面の色はいかにも北の地方の湖ら
しい黒っぽい感じで、水もかなり冷たそうだった。

　　

　ツアーはアーカート城の船着場で、先に出発してアーカート城を見学していた人達
（私がはじめに参加したいと思っていたツアー）を乗せて再び元の船着場に戻った。

　湖から上がって次に行ったネス湖２０００では、ネス湖の成り立ちとネッシーについて
の色々な調査結果がジオラマや映像などでわかりやすく工夫して展示されていた。各部屋
毎にネッシーに関する色々な謎や調査内容などがテーマとなっており、２０〜３０分も
あれば一通り見ることができるようになっていた。
　ネッシーがいると主張する写真には有名な首長竜の頭部の影の写真のように、かなり
それっぽいものもあるが、この写真以外はかなり好意的に解釈してやっと疑わしいと言え
るようなレベルにしか見えないものの方が多い。
　英国でも学術団体などがソナーを使ったり、潜水艇までも繰り出したりして調べたよう
だが芳しい結果は得られなかったらしい。実際ネス湖は魚もそれほど多くないため仮に
ネッシーがいたとしても何を食べているのかというのは大きな疑問なのだそうだ。
　それらを考慮するとやはりネッシーはいないのだろうと思われるが、いないとはっきり
断定するのは避けられている。というのは、いないと断定した場合、今やネッシーのおか
げで世界的観光地になったネス湖やインヴァネスの町への影響がかなりあると思われる
からだ。


　　


　ビジターセンターの出口のところには、お約束のように土産物屋が数件入っておりネス
湖およびネッシーに感しての色々なお土産が売られていた。その中で特に目が行ったのは
ネッシーのぬいぐるみのお土産だった。架空の生物であるネッシーはいつのまにかデフォ
ルメされてキャラクター化されており、色々な大きさ、形、デザインのぬいぐるみが売ら
れていた。

インヴァネスの街

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